日韓の古都を巡る、怒涛の一週間:韓国・安東(アンドン)編-#008

9月24日〜26日は、韓国・慶尚北道の安東(アンドン)を訪れていました。
慶尚北道・奈良県文化芸術交流「千年の響き」という企画の一環で、安東国際タルチュムフェスティバルに参加してきました。

韓国伝統舞踊、韓国伝統音楽、雅楽、和太鼓など、日韓の伝統音楽・舞踊を中心に、さまざまな舞台が繰り広げられました。
日本側は、京都在住の韓国伝統舞踊家・金一志(キム・イルチ)氏の呼びかけにより、奈良県に縁のあるアーティストを中心に構成されたメンバーです。

今回のツアーで再確認した、人との縁

この企画には、雅楽奏者として参加しました。
篳篥奏者として同行したのは、上賀茂神社「音の逢ふひ〜Aoi」で共演したばかりの高木了慧氏(篳篥・作曲家)。同じ便で韓国へ向かいました。
了慧氏は、私が主宰する「音楽舎まほら」にも参加されるなど、出身楽所の枠を超えて、共演する機会が最も多い音楽家の一人です。
ただ、一緒にツアーに出るのは今回が初めて。
約30年前、オランダからの帰国便で偶然、隣の座席に乗り合わせたことが、知り合うきっかけだったのを改めて思い出しました。長い年月を経て、こうして一緒に海外の舞台に立つことになるとは、不思議な縁を感じます。

篠笛奏者は小泉なおみ氏。かつての教え子ですが、今や演奏スキル、楽曲への理解力、人柄のいずれにおいても信頼の厚いアーティストです。第一線で活躍し、大御所と呼ばれるトップアーティストからも共演を依頼されています。
今回は和太鼓枠での参加でしたが、雅楽のコーナーでも協力してもらいました。

和太鼓チームのリーダーは大橋亮介氏。今回初めてお会いしましたが、高い演奏スキルはもちろん、人柄も素晴らしいアーティストでした。大きな太鼓群とともに船便で現地入りされたそうです。
そして、太鼓チームのメンバーには松下建命氏。
ハードボイルド系のアクションドラマに登場しそうな風貌に、熱くパワフルな演奏。現地のお客様から大きな歓声と拍手を受けていました。
驚いたことに、建命氏とは、なかなか出会う機会のない奈良高専の同窓生でもありました。
今回も、韓国側・日本側を問わず、素敵な出会いが続きました。

到着したその日から、いきなり本番!

さて、舞台の話に移りましょう。

24日午前、関西空港を出発。昼過ぎに大邱空港へ到着すると、迎えの車が待っていました。そこから高速道路で安東へ向かいます。
ところが、その移動中にも、フェスティバルの舞台はすでに進行中。
私たちの出番を後ろの方に変更していただき、会場に到着するなり装束に着替え、現地でのリハーサルもサウンドチェックもないまま、ぶっつけ本番となりました。

演奏を終えると、そのまま舞台上でインタビュー。舞台を降りた頃には、到着したばかりの和太鼓が組み立てられていました。
和太鼓チームも、4名のソロ奏者が集まった編成で、やはりぶっつけ本番。
こういう状況では、かえって気合が入り、テンションも高まって、良い演奏やパフォーマンスにつながることがあります。
今回も、そんな現場ならではの勢いを感じる一日でした。

日韓の伝統芸能が交わる舞台

24日はタルチュムフェスティバルのプレイベント、25日が開会日だったようです。
25日は、かなり広大な会場の全体を見て回ることもできました。
本番は雨が降っていたのが少し残念でしたが、楽しく舞台を務めることができました。

会場では、華麗な韓国伝統舞踊をはじめ、地元アーティストによる歌やダンスなど、さまざまな演目が披露されました。

雅楽のコーナーでは、平調の調子から品玄(ぼんげん)、越天楽へと演奏。
自由なテンポで、それぞれが自在なタイミングで音を交わす曲から、整った楽曲へと移っていく流れが、良い効果を生んだようです。

和太鼓コーナーでは、プロ奏者が生み出す音の圧倒的なパワーに、やはり大歓声が上がっていました。

そして、日韓交流プログラムのフィナーレは、日舞、韓国舞踊、雅楽、和太鼓、篠笛、韓国歌手によるコラボレーション。
「さくらさくら」と「アリラン」のメドレーです。
この音楽アレンジの大枠を担当させていただきました。
日本と韓国、それぞれの伝統芸能が一つの舞台で交わる。今回の交流企画を象徴するようなフィナーレになったと思います。

安東の味と、深い歴史に触れる

今回のツアーでは、とても美味しい料理でもてなしていただきました。
安東は鯖料理と焼酎が有名なのだそうです。
鯖といえば、京都へと運ばれてきた鯖街道を思い浮かべます。朝鮮半島の内陸部にある安東にも、同じ日本海を巡る鯖が運ばれてきたのだと思うと、食文化を通しても、地域同士のつながりが感じられます。

最終日の26日は、1000ウォン札に描かれている儒学者・李滉(イ・ファン)師が開いた学校、陶山書院を案内していただきました。
歴史ある建物や周囲の風景に触れ、安東という土地が持つ深い歴史を感じる一日となりました。

こうして、9月24日から26日までの安東滞在を終え、帰路へ。
演奏、交流、思いがけない再会、そして土地の文化と歴史。
今回もまた、音楽を通じて多くの縁に恵まれた旅となりました。

※舞台の写真はリハの模様です。

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